BM-caはB細胞リンパ腫の治療薬としてバイオメディクスが独自に開発した抗体医薬品です。 BM-caはすでに知られている抗CD20(注1)抗体、例えばRituximab、Ofatumumab、GA101などとは生物学的に異なる特性を持っています。抗体のがん細胞を殺傷するメカニズムとして、抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC、注2)、補体依存的細胞障害(CDC、注3)アポトーシス(注4)の誘導が知られています。最近ではCD20のリピッドラフト(注5)への再配置、同型細胞凝集(注6)といった細胞間のシグナル伝達に関係する機能に注目が集まっています。同型細胞凝集は細胞増殖の阻害やアポトーシスの誘導を引き起こすことが示唆されており、CD20のリピッドラフトへの再配置は、抗体の抗原へ結合したクラスターを形成し、C1q complex(注7)の結合のほか、さまざまな反応を誘導すると考えられています(下図参照)。

これまでに開発された抗CD20抗体医薬品は、その働き方の違いにより2つのタイプに分類されてきました。タイプIと呼ばれる抗体はCD20のリピッドラフトへの再配置を誘導し、強いCDC活性を示す一方、同型細胞凝集能力が弱くアポトーシス誘導能が低いことが知られています。逆にタイプIIと呼ばれる抗体はCD20の再配置を誘導せずCDC活性が弱い一方、強く同型細胞凝集、アポトーシス誘導をひきおこします(ADCC活性はタイプによらないと考えられます)。

BM-caは、タイプI、タイプII抗体のどちらとも異なる特性を持った新しいタイプの抗CD20抗体です。BM-caはCD20のリピッドラフトへの再配置を効率よく誘導し、顕著なCDC活性を示すことに加え、同じく高い細胞凝集誘導能、アポトーシス誘導能も示します。これらに加えて、BM-caは化学療法剤との併用で強い増感作用を示すことも示されています。 2011年から第I相臨床試験を実施しています。

(注1)
CD20: B細胞特異的に発現する膜4回貫通型の膜タンパク質。
(注2)
抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC): 免疫機能の一つで、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などエフェクター細胞が、抗体が結合している細胞を傷害する作用のこと。
(注3)
補体依存性細胞傷害(CDC): 免疫機能の一つで、補体(抗体に結合することにより活性化し細胞障害を誘発するためのタンパク群)を介した細胞傷害のこと。
(注4)
アポトーシス: 細胞に内在するプログラムによって引き起こされる細胞死。
(注5)
リピッドラフト: 細胞膜上に存在するコレステロールを多く含んだ局在部位。シグナル伝達など、細胞活動にかかわる因子が局在すると考えられている。
(注6)
同型細胞凝集: ある種のCD20抗体がCD20に結合することにより誘発される細胞凝集現象。
(注7)
C1q complex: CDCカスケードの最初の因子で抗体に結合する。抗体に結合したC1q complexを起点として補体活性化反応が進行し細胞傷害を引き起こす。

参考文献

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