iPS細胞
日本発のiPS細胞技術は、生物医化学の分野で強力なツールとして活躍しております。特に創薬スクリーニングには欠くことのできないものとなっております。弊社の本受託サービスは、研究者の方々が必要とする研究材料のiPS細胞をご提供すべく整備しております。また、これらオリジナルのiPS細胞に対し、そして標準iPS細胞に対しゲノム編集技術による遺伝子改変を施すことで将来疾患細胞となるiPS細胞も準備することができます。
iPS細胞の樹立作業工程(以下iPS細胞の樹立と受注フロー)
本サービスでは、抹消血単核細胞(PBMC)に、エピソーマルベクターを導入し、iPS細胞を作製しご提供致します。
受託サービス内容_ゲノム編集とiPS細胞の遺伝子改変作業
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PBMCの準備(約1週間)
ご依頼者様にてご提供又は富士フイルム和光純薬様で購入できるPBMCをご提供いただき、凍結保存してあるPBMCから細胞を培養しiPS細胞樹立作業に供します。
※凍結時細胞数 1.0×107cells以上、HIV/HBV/HCV陰性で匿名化されたものに限ります。 -
遺伝子導入及び細胞培養(約8-16週間)
準備したPBMCにエピソーマルベクターを導入し、iPS細胞を樹立致します。培養液には、StemFit AK02Nを使用致します。 -
iPS細胞の凍結
適度に増殖したiPS細胞に対し、Y-27632添加培地を利用して細胞にダメージを与えないように単離作業を行います。
1~5×105cells/バイアルとなるように調製し、STEM-CELLBANKERを用い凍結保存します。 -
品質確認(約1-3週間)
iPS細胞は、株毎に様々な特徴を示す細胞です。そこで、弊社ではiPS細胞特有の形質をいくつかピックアップして解析し、樹立した細胞株の品質を確認しております(一部オプション)。- iPS細胞陽性確認_iPS細胞特異的レクチンの染色(生細胞染色)
- アルカリフォスファターゼ(ALP)染色
継代数と品質

品質確認


iPS細胞の遺伝子改変(iPS細胞の改変と受注フロー)
ヒト由来の細胞から細胞初期化(iPS化)された細胞の特定遺伝子をCRISPR/Cas9を使用して遺伝子を破壊する受託サービスです。
遺伝子破壊(フレームシフト/大規模欠損/終始コドンKI)の他、ドナーとしてssODNやプラスミドを用いた点変異、長鎖の遺伝子挿入も可能です。
受託サービス内容_ゲノム編集とiPS細胞の遺伝子改変作業
遺伝子改変事例:ゲノム編集による遺伝子破壊(単一&複数箇所)

iPS細胞のゲノム編集における受注フロー(総作業期間目安:ノックアウト及び短鎖ノックイン;4ヶ月~。長鎖ノックイン;6.5ヶ月~)
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iPS細胞株の導入、培養試験、gRNA並びにドナーDNAの準備(約1-4ヶ月~)
ご依頼者様よりご提供いただいたiPS細胞株※1,2を起眠し、細胞を増やしCRISPR/Cas9システムによる遺伝子改変作業に供します。ご提供いただいた細胞株はマイコプラズマ検査を行った後、使用させていただきます。
※1:同一lot、凍結vial(1×10^5 cells以上/vial)にて2vial以上のご提供をお願いしております
※2:培養におきましてはStemFit® AK02Nによるフィーダーフリー培養、凍結保存にはSTEM-CELLBANKER®を標準としております(他の培養系となる場合は応相談となります)
点変異等の1-10数塩基規模の短鎖ノックインを行う場合は、上記gRNAの設計とともにドナーDNAとなるssODNの設計、準備も行います。数kb規模の長鎖ノックインを行う場合は、ドナーDNAとなるプラスミドDNAの設計、準備を行います※3,4
※3:1)においてかかる期間は、ノックアウト及び短鎖ノックインで約1ヶ月~、長鎖ノックインで約4ヶ月~となります(人工合成する長さや塩基配列の難易度、構築難易度で変動致します)
※4:ノックインにおきましては、変異希望箇所近傍にgRNAの設計が可能かどうかが成功のカギとなるため、設計が難しい際はお引き受けできかねる場合がございます。また、短鎖ノックインの際は希望される変異に加え、CRISPRによる再切断防止並びに遺伝型解析(制限酵素サイト付与によるPCR-RFLP)を行う上で必要なサイレント変異も導入致します -
エレクトロポレーション法による細胞への導入と候補細胞集団(バルク細胞)の選抜作業(約1ヶ月~)
標的遺伝子に対し準備したgRNAとCas9タンパク質からなるRNP(ノックインの場合は+ドナーDNA)を調製し、4D-Nucleofector™(LONZA)を用いiPS細胞へ導入します。
導入した候補細胞集団(バルク細胞)について、一定期間培養後※5にゲノムを抽出し、遺伝型の解析(PCRほか)を実施して期待する変異が含まれているかどうかを検証いたします
※5:長鎖ノックインの場合は、ドナーDNAに組み込んだ薬剤耐性遺伝子を利用した薬剤選抜を実施致します -
シングルセルクローニングによるクローン選抜作業並びに遺伝型解析作業(約1-2ヶ月~)
2)にて期待する変異が得られていることが示唆されたバルク細胞について、シングルセルクローニングによるクローン選抜作業を実施致します -
陽性候補株のvial stock及びシークエンス解析による陽性株の確定(約1-1.5ヶ月~)
3)で得られた陽性候補株について、vial stock※6を行うとともに一部の株※7を対象にシークエンス解析を実施し、陽性株を確定致します
※6:1×10^5 cells以上/vialで2vialのstockを実施致します
※7:候補株が多く得られた場合はご依頼者様と協議の上、解析対象を絞らせていただきます